2005年12月02日

ビル耐震強度偽造問題に思う

日々テレビを賑わせている「ビル耐震強度偽造問題」。
日を追うごとに被害は拡大しています。そして住民の皆さんの心労もピークに達しています。
しかし、当事者達の対応を見ていると、どう見ても責任のなすり合い、そして何とか責任逃れしようということばかりを、考えているように思えて仕方有りません。

一番悪いのは、誰が何と言おうと偽造をした「姉歯設計事務所」です。
いくらコストダウンの圧力があっても、いくら仕事を断られようが、絶対にやってはいけないことをやってしまったのですから。

でも、姉歯設計事務所の偽造を、他の業者が全く知らなかったというのも、かなり妖しいように思えます。
建築に関わる者なら、どう考えても鉄骨の量が少ないと解るそうです。
実際に作業をしていた業者は、「おかしい?」と気付いていた可能性が高いということになります。もしくは知っていて黙認していたことになります。

今回のこの問題は、建築業界の問題点が浮き彫りにされた形となりましたが、これは何も建築業界だけの話しではないようにも思えます。
今回は被害の額の大きさ、そして何より人命に関わることで、ここまで問題が大きくなっていますが、他の業界でも似たようなことは起きている可能性もあるのではないでしょうか。

長引く不況で、どこもかしこもコストダウンを迫られて、これ以上やると品質を落としてしまう。
でも、やらなくては仕事が無くなってしまう。というギリギリのラインで、品質を落としていることは、少なからずあるのではないでしょうか?
それが消費者に解る範囲で、「安い分、品質は落ちる」と判断できるのならいいのですが、今回のように解らないと大問題になります。

テレビでどなたかが話していた一言が、とても印象に残っています。
「日本の物造りをする人達は、もう職人魂は無くなってしまったのでしょうね。」
まさしくその通りだと思いました。本当に良い物を、本当に良心的な値段で、本当に魂を込めて創る。
そんな考え方は、利益とコストダウンという言葉にかき消されてしまったのでしょう。
本当にお客様のことを考えると、絶対に偽造なんか出来ないし、建築している段階で「おかしいな?」と思えば、絶対に調べるはずです。
また、検査期間ももっとしっかりチェックしているハズだし、売り手ももっと意識を持っていたハズです。
誰もが皆、マンションを安く早く建てて、早くお金にすることだけを考えていた結果が今回の問題を産んだのだと思います。

何のために仕事をしていたのでしょうか?やはり「金」のために仕事をしていたから、最も大切な「お客様の満足度」という部分が抜け落ちてしまったのでしょう。
企業である以上、利益を上げていかなくてはならないのは解ります。しかし、利益だけを考えた結果が今回の問題です。
利益どころか、会社が倒産の危機を迎えているのです。例え乗り切ったとしても、会社の信頼は地に落ちています。

二度とこのような問題が起きないように、徹底的に原因を追及し対策を取っていかなくてはなりません。
そして何より、被害に遭っている住民の方々の救済、そして援助を一番に急がなくてはなりません。
今回の事を「建設業界の体質」と見るのでは無く、日本人全体の事としてとらえ、仕事をする責任感と達成感に結びつけていかなくてはならないのだと思います。
仕事はお金を貰う手段ではなく、社会の役にたって与えられる物がお金だと思うのです。
posted by island(ふくはらしゅんじ) at 22:48 | Comment(3) | TrackBack(0) | 私の思うこと
この記事へのコメント
またまたしつこくお邪魔します^^;
islandさんのつぶやきは、いつも共感することばかりで、つい反応したくなってしまいます。
姉歯建築士に付いては、全く同感です。
情緒のかけらも感じられない、無表情な顔を見ていると、不気味にさえ思われます。

「職人魂」と言えば、姉歯建築士と対極の素晴らしい話を知っています。
ご存知かもしれませんが、もう亡くなられた宮大工の西岡常一氏のお話です。
奈良の法隆寺には西塔、東塔とありますが、西岡氏が東塔を再建した時、出来上がった東塔が西塔に比べて明らかに高かったそうです。
それを見た人々は、高さが同じでないから失敗したのかと問いただしたところ、西岡氏は「木は乾燥して徐々に縮んでゆく。200年たてば、同じ高さになる」と言ったそうです。

私はこの話をはじめて知った時、涙が出ました。
自分の死後も作品は残る。
後世に恥じない、宮大工としての誇りを懸けて、建立に臨んだのですね。
私達消費者も、本物を見る目を養わなければなりませんね。

>仕事はお金を貰う手段ではなく、社会の役にたって与えられる物がお金だと思うのです。
本当に、今の世は、そこのところが逆になっていますね。
Posted by 春眠 at 2005年12月02日 23:59
この問題が発覚してから、波紋が広がっていますね。現実問題として、今の建築関係の体質も大きいと思います。
大手の建築会社は下請け、孫請けを使って仕事をしています。
つまり、自分自身で仕事をしていない所がほとんどで、実際に仕事をしている人たちは、利益も少ないんです。

利益があまり無いという事は、お給料の高い職人さんは使えないわけです。
すると、素人か、素人に毛が生えたような人が大工(監督)の指示でぶっつけ本番で仕事をしているような事も多いのです。
(親戚が建築関係だったので聞いた事ですが)

昔だったら、人を育てながら仕事をさせる余裕があったのでしょうが、即戦力を求められる現代では、職人を育てる環境自体がなくなる傾向にあるのでしょうね。
それはとても残念な事ですし、今回の事件の背景にもつながっている気がします。
Posted by みいみ at 2005年12月03日 14:35
春眠さん、またまたいらっしゃ〜い(笑)
つぶやきに共感して頂いて、ありがとうございます。どんどん反応して下さいね(笑)
でも、この問題は笑って済ませられることではないですよね。
本当に当事者達は責任を果たし切って欲しいと思います。

法隆寺の話しは初めて知りました。
まさしく職人魂、プロフェッショナルですね。
自分の仕事に対して、誇りと自信を持っていたのでしょうね。
私も少しでも、後世に残る仕事をやっていきたいです。それにはまだまだ頑張らなくてはいけませんね(笑)

みいみさん、親戚の方が建築関係だったのですね。
やはり現場の声を聞くと、問題がリアルに伝わってきますね。
平成大不況の中で、生き残るためには仕方ないことなのでしょうが、やはり限度があります。
今回の問題で、建築業界も変わっていくでしょうし、日本人全体ももっと本物を見る目をもたなくてはいけません。
日本人って誰かが「これはいい」と太鼓判を押すと、自分の意志無しで「良い物」って思っちゃう傾向にあります。
春眠さんのおっしゃる通り、私達消費者も、本物を見る目を養わなければいけませんね。
Posted by island at 2005年12月05日 20:48
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/61548159
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック